No.6　Sticker　－その(1)　色の持つ意味－

タイのお話なのに、英語のタイトルが続いておりますが……。前回に引き続き、プロダクトに絡めたお話です。

タイヤキ76のプロダクトは、現在ステッカーと缶バッジの2パターンです。プロジェクトの立ち上げ当初はステッカーのみの制作の予定だったのですが、メンバーからの助言もあり缶バッジを追加することになりました。

ではなぜステッカーを作ろうと思ったのか……と言うと、ある曲にきっかけがあります。

代表はタイのロックやポップスが好きなのですが、今一番好きなのがBodyslamというタイで非常に人気の高いロックバンドです。彼らが2010年に発表したニューアルバム「คราม（カーム／群青）」に収録されている曲にそのものずばり「Sticker（ステッカー）」という曲があります。メロディーラインがとてもかっこいいので、意味が分からなくても「好き！」ってなっちゃう人も多いのではないでしょうか。

Bodyslam『Stiker』

さて、この曲を聴いてみなさん気になるのは、頻繁に出てくる「สีชมพู（シーチョンプー）」という単語だと思います。

สี＝シー／色
ชมพู＝チョンプー／ローズアップル（果物の名前）

直訳すると「ローズアップル色」……これはピンク色のことです。ちなみに、代表はチョンプーの実物を見たり食べたりしたことがあるのですが……ものすごい赤か黄緑色で別段ピンク色だった記憶はないのですが・・・。

まぁ、そこらへんの謎はさておき、彼らはなぜこんなカッコイイメロディーの中で何を「ピンク色～！　ピンク色～！」と熱くなっているのかと申しますと、彼らは「車をピンク色にしろ」と熱く訴えておられます。

意味分かんないよね。

この意味を理解するために、タイ人が持っている2つの感覚について知っておく必要があります。この2つの感覚、この曲の意味を理解するのに限らず、知っていると次からのタイ旅行もちょっと味わい深くなると思いますよ。

タイ人が持っている2つの感覚のひとつは「色」に対する考え方です。

日本でもラッキーカラーなんて考え方があるように、色には特定のイメージがありますよね。それはタイも同じですが、日本人よりも強い意味を感じています。最近では体調の優れない王様を励ますために、国民が意図的にピンク色の洋服を着て過ごしていると言います。また、赤は勝利を表す色なのですが、ムエタイの試合で青いトランクスを履かなければならない青コーナーの選手が、文字やラインを赤にして、勝利の色を取り入れる事があります。必ずではありませんが、機会があればチェックしてみてください。

さらに、タイは星座や血液型占いよりも、自分が生まれた誕生曜日を大切にしているので、占いと言えば誕生日占いが盛んです。誕生日占いでは月曜日から日曜日それぞれの曜日に、それぞれラッキーカラーが割り振られています。誕生日占いについては、いつか詳しくお話ししようと思いますが、簡単にご紹介すると以下の7色です。

日曜日＝赤
月曜日＝黄色
火曜日＝ピンク
水曜日＝緑
木曜日＝オレンジ
金曜日＝空色
土曜日＝紫

これは、代表がいつも身につけているシリコンバンドなんですが、3年ぐらい前だったか……国王誕生日に販売されたもので、月曜日生まれの王様を表す黄色と、金曜日生まれの王妃様を表す水色が使われています。ちなみに、代表は王妃様と同じ金曜日生まれです。

Bodyslamの「Sticker」に話を戻しましょう。曲中で彼らが訴えているสีชมพู（シーチョンプー／ピンク色）は、愛を表す色です。

曲はこのような内容からスタートします・・・

「黒い車を見るのはあまり良くない、運命を変えたいなら車をピンク色にしよう」

・・・すごく不思議な感じがしますよね。でも、色に特別な意味合いを感じる国民性から、占いなどでこのような事を言われる事も多いのだそうです。

そして、曲は次のように続きます。

「しかし全てをピンク色に変えることは（お金がないので）できない。
　それならばステッカーを貼ってしまおう」

はい、さっそくステッカーが登場しました。ピンク色に塗りかえられないからステッカーを貼る……これがどういう意味なのかは、次回解説します。では、今回はここまで！